口臭の原因として多くの人が想像するのが、食べ物や飲み物の影響。
口の中に残った食べ物のカスや、胃の中の食べ物の臭いが口臭を悪化させると考えがちです。
ところが、胃の中の食べ物ではなく、胃自体が口臭の原因の可能性もあるのです。

口臭の原因となる胃の病

胃の病のイメージ

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道まで逆流してしまうことで発症する食道の炎症です。
胃酸が逆流する原因は、胃酸が増えすぎることや、食道と胃の境目にある「下部食道括約筋」が弱まることが挙げられます。
逆流性食道炎を発症すると、胃酸の酸っぱい臭いが口臭やゲップに現れるようになります。

ピロリ菌

ピロリ菌は、胃の中に住み着く細菌です。
胃には強い胃酸があるため、胃に入ったほとんどの細菌は酸によって死滅します。しかし、このピロリ菌だけは、胃酸を中和する酵素「ウレアーゼ」によって生息することができるのです。
このウレアーゼは胃の中の尿素を分解し、アンモニアを発生させます。このアンモニアが吐息に混ざることで、尿のような口臭が現れるのです。
ピロリ菌に感染すると、逆流性食道炎・慢性胃炎・胃潰瘍など、胃や食道の病気にかかりやすくなるため、注意が必要です。

慢性胃炎

慢性胃炎は、食生活の乱れやストレスなどが原因で起こる、胃の炎症のことです。
この慢性胃炎になると、胃での消化が滞りやすくなります。これにより食べ物が長く胃の中に留まり、胃の中で異常な発酵をしてしまい、強い口臭が現れやすくなるのです。
慢性胃炎になると、胃酸の酸っぱい臭いや、卵の腐ったような臭いが現れます。

胃潰瘍

胃潰瘍とは、慢性胃炎などの影響で胃の粘膜がただれてしまう症状のことです。食事中や食後に強い痛みや吐き気を覚えたり、黒褐色の吐血や血便が現れたりします。
胃潰瘍になると食べ物の消化が滞ってしまうため、慢性胃炎と同じく卵の腐ったような臭いがします。

胃ガン

胃ガンは、胃粘膜の細胞がガン化することで発症する病です。
ピロリ菌の感染や慢性胃炎によって、この胃ガンになるリスクが高まるため、注意が必要です。
胃ガンになると、細胞が壊死することで現れる強い腐敗臭が口から漂うようになります。

胃の病の中で、逆流性食道炎・慢性胃炎・ピロリ菌感染の3つは、多くの人が罹患しています。
逆流性食道炎は、食の欧米化により肉中心の食生活を送る人が増えたため、発症する人が増加しています。
慢性胃炎はピロリ菌の感染と密接な関係があります。感染すると、ピロリ菌の出す酵素によって胃を保護する粘膜や粘液が減ってしまい、胃酸によって胃にダメージが与えられやすくなるのです。
では、この逆流性食道炎やピロリ菌の感染が起こると、どんな症状が現れるのでしょうか?

逆流性食道炎とピロリ菌の自覚症状

チェック表イメージ

逆流性食道炎のチェック表

  • 胸の違和感・不快感・のどに何かが詰まっているような違和感やイガイガがある
  • 胸焼けや、胸の締め付けられるような痛みが現れる
  • ゲップをすることが多く、酸っぱいものや苦いもの(呑酸)が口まで上がってくる
  • のどに痛みを感じることが多く、食べ物を飲み込みづらくなったり、声がかれてしまうことがある
  • よく口内炎ができる
  • よくせきが出ることがある

ピロリ菌のチェック表

  • よく胃がムカムカしたり、痛みを感じることがある
  • 空腹や疲労、緊張で吐き気が起こることがある
  • 胃に重みや不快感を感じる
  • 胸焼けや吐き気、胃の不快感によって食欲不振になることがある
  • 過去に慢性胃炎や胃潰瘍、胃ポリープを診断されたことがある
  • 家族の中にピロリ菌の感染者がいた

こんな口臭が現れたら要注意

口臭原因のほぼ9割は口内にあるとされていますが、原因の1割の中に、胃腸からの症状が当てはまる場合もあります。
虫歯や歯周病が原因の場合、腐った玉ねぎや腐ったキャベツ、腐った卵などの臭いが現れます。
逆流性食道炎の場合、胃液による酸っぱい臭いが現れます。ピロリ菌の場合、腐った卵の臭いのほか、アンモニアによる尿臭が現れるのが特徴です。
酸っぱい口臭や、尿のような口臭がした場合、胃腸が原因の口臭である可能性があります。

逆流性食道炎・ピロリ菌の治療法

医者のイメージ

診察はどこで受ければいい?

診察は内科消化器内科、胃腸科などで受けることができます。
口臭が気になるだけであれば、胃や腸の病ではない場合も考えられるため、内科へ相談しましょう。
胃もたれやのどの痛み、食事のたべにくさなど、明らかな異常が見られる場合、消化器内科や胃腸科での診察を受けると良いでしょう。

逆流性食道炎の治療法

軽度の場合は、生活指導や薬物療法によって治療が行われています。
逆流性食道炎は、猫背などの姿勢の悪さや、脂肪分の多い食事が原因です。前かがみになる姿勢を避けることや、脂肪分の少ない野菜や魚中心の食生活を送ることで、症状を和らげることができるでしょう。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑える「酸分泌抑制剤」が主に処方されます。
逆流性食道炎が重度の場合、外科治療が行われます。
胃液の逆流を防ぐ噴門部の形成手術や、胃の上部を食道へ巻きつけるニッセン手術などの手術方法が行われます。

ピロリ菌の治療法

ピロリ菌の治療は薬物療法で行われます。
胃酸を抑える薬と、2種類の抗菌剤を処方するのです。
1日2回、1週間飲み続けることで、9割の人がピロリ菌を除菌できます。
ただし、服用するのを忘れたりすると、治療薬に耐性をもったピロリ菌が現れることがあるため、決して飲み忘れないようにしましょう。

逆流性食道炎・ピロリ菌の予防方法は?

予防イメージ

逆流性食道炎やピロリ菌の感染を完治するには、病院での治療が不可欠です。
しかし、正しい予防法を実践することで、症状を和らげることや、治療の効果を高めることができるでしょう。

逆流性食道炎の予防方法

1:食生活を改善する

胃や食道に負担の強い食べ物ばかりを食べず、野菜や魚などの和食中心の食生活を送ることで、逆流性食道炎のリスクを避けることができます。
また、食べる量も満腹になるまで食べず、腹八分目くらいに留めることが理想的です。

【胃や食道に負担の強い食べ物】

  • 脂肪分の多い肉料理
  • タンパク質の多い食材
  • コーヒーやお茶など、カフェインを多く含む食材
  • お酒
  • トウガラシやコショウなどの辛味の強い食べ物
  • 酸味の強い食べ物・柑橘類
  • チョコレートなどの甘い食べ物

2:食用油をオリーブオイルに変える

オリーブオイルは下部食道括約筋への負担が少ない油です。
普段使用する食用油をオリーブオイルに変えることで、逆流性食道炎のリスクを下げることができるでしょう。

3:胃に圧力を与えることを避ける

猫背など、胃に圧力のかかる習慣をしていると、胃酸が食道へ上りやすくなります。知らず知らずのうちにこうした習慣をしている人も多いため、毎日の生活で意識して改善していきましょう。

【胃に負担がかかりやすい習慣】

  • 猫背など、前かがみになりやすい姿勢を避ける
  • 重い荷物を無理に持たないようにする
  • ベルトやコルセットで体を締めすぎない

4:肥満を解消する

お腹の周りに脂肪がつくと、脂肪の重さによって普段の腹圧が高くなってしまい、胃への負担が強くなります。ダイエットをして体についた脂肪を減らすことで、この逆流性食道炎のリスクを避けることができます。
また、ダイエットを行うことで、食生活の改善や筋肉の増加による姿勢の改善など、逆流性食道炎の原因となるさまざまな問題を改善できます。

5:食後すぐに寝ないようにする

食べ物を食べた後は、胃からたくさんの胃酸が分泌されます。その状態で横になると、胃酸が食道へ入り込みやすくなるのです。
食事をした後、3時間は椅子に座るなどして、胃酸が食道へ逆流することを防ぎましょう。
また、就寝時の胃酸の逆流を防ぐ方法として、上半身を10度くらい高くして寝る方法が効果的です。マットレスの下に毛布や座布団を敷くなどして、肩や首に負担のかからない方法で傾斜をつけるとよいでしょう。
眠る姿勢は、胃酸が逆流しやすい右側を向いて寝ることや、胃に負担の掛かるうつぶせ寝はできるだけ避けましょう。

ピロリ菌感染の予防方法

ピロリ菌は、基本的に大人が感染することは少ないです。免疫力の低い5歳以下の子供が感染する可能性が高いため、小さい子供がいる人は感染しやすい不衛生な場所へ連れて行かないようにしましょう。

1:不衛生な飲み水を口にしない

ピロリ菌の感染者が多いのは、水道が未整備な地域です。井戸水や川の水など、塩素によって処理していない水の中には、ピロリ菌が混ざっている可能性があります。
川遊びをしている時に川の水を飲んだり、井戸水を使用している神社の水を飲むなど、水道水以外の水を口にする機会は多いため注意が必要です。

2:汲み取り式のトイレの使用を避ける

汲み取り式のトイレは、水洗トイレに比べると不衛生であるため、ピロリ菌に感染する可能性が高くなります。下水道の整備がされていない途上国ではこのピロリ菌の感染率が高いため、水洗トイレ以外で用を足すと感染する可能性があります。

3:家に住み着くネズミやゴキブリの駆除

ネズミやゴキブリはたくさんの病原菌を保有しているため、これらの生き物に住み着かれると、家の中が汚染される可能性があります。しっかりと駆除することで、ピロリ菌の感染リスクを下げられます。

4:食後にヨーグルトを食べる

乳酸菌LG21ヨーグルトを食べることで、ピロリ菌の活動を抑制することができます。
ピロリ菌感染者に1日2回、8週間食べ続けてもらったところ、ピロリ菌の活動の抑制や胃粘膜の炎症の改善効果が認められたのです。
食後にヨーグルトを食べることで、ピロリ菌に感染した場合のリスクを下げることができるでしょう。

【ピロリ菌を予防するとされる食べ物】

  • ブロッコリースプラウト
  • 梅干し
  • フコイダン(わかめや昆布)
  • 緑茶
  • ココア

まとめ

医療のイメージ

口臭がキツくなった時、多くの人は歯磨きや口臭改善サプリを使用して、息の臭いを改善させようとします。
しかし、こうした口臭対策をしても臭いがまったく改善しない場合、何らかの病が原因である可能性があるのです。
胃の不調や違和感など、口臭以外にも何らかの自覚症状が見られる場合、口臭外来のほか、内科・消化器科内科・胃腸科などで診察を受けてみましょう。

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